蟹江川をはじめ、幾筋もの川が長い旅路を終える蟹江町には、川と海を自由に行き来できる汽水魚“ボラ”が棲息しています。生後1年程度、幼少期のボラの名は“イナ”。脂がのっておいしいイナで作られるのが、蟹江の名物・いな饅頭です。
外見は普通の魚の丸焼き。しかし中には、ギンナンやしいたけを練り込んだ豆味噌がぎっしり。味噌の風味が魚肉に染み込んでおり、一口食べれば口中に具、味噌、魚が一体となった深い味わいと香ばしい香りが広がります。日本酒に実によく合う逸品です。
このいな饅頭が考案されたのは、およそ120年前のこと。当時は旅人をもてなす料理だったものの、いつしかそれが郷土料理に。出世魚を用いた料理であることから、「食べればとんとん拍子で出世できる」と祭りや祝いごとのたびに各家庭で作られました。イナを傷つけずに背骨や内臓を除くには技術が要るので、かつて漁業を営んでいた蟹江町だからこそ広がったメニューだとも言えます。
最近では、一般家庭で作られる機会が減ったいな饅頭。しかし、数件の料理屋を中心に伝統は守り伝えられ、この究極の饅頭は今なお多くのファンに愛されています。
作り方
STEP 01 内臓を取り除いたイナのエラから包丁を入れ、背骨と背肉を切り離す。頭と尻尾の骨を折り、背骨を抜き取る。 |
STEP 02 鍋に八丁味噌、みりん、酒、砂糖を入れ、弱火で2時間ほど練る。 |
STEP 03 STEP 02の練り味噌の一部に、煎った麻の実、茹でてスライスしたギンナン、しいたけ、細かく切ったゆずを合わせる。 |
STEP 04 イナの身体にSTEP02の味噌→STEP 03の具入り味噌の順で詰めていく。指と棒でしっかり詰めるのがポイント。 |
STEP 05 イナを串刺しにして、表面をこんがりと焼けばできあがり。 |
いな饅頭を食べれるお店(要予約)
■いなまん(愛知県海部郡蟹江町大字蟹江本町字川西53番地)
電話番号:0567-95-2715
■丸河(愛知県海部郡蟹江町城二丁目100番地)
電話番号:0567-95-1001
■湯元館(愛知県海部郡蟹江町学戸六丁目300番地)
電話番号:0567-95-3454
ホームページ:http://yumotokan.biz/